庭の片隅に、多分カラスが運んできた種から芽吹いた桜の木があります。もうずいぶん前になりますが、ある時ふと花がたくさんついているのに気づきよくみると桜の木でした。白い小さな花で、桜の中では地味な方です。年月が経つうちに、誰にも知られずだんだん大きくなり、花をつけるようになってやっと気づいてもらえたのです。何ザクラなのか?近所の人から「桜桃の木だ」と教えていただいたものの、桜桃がなっている様子もなく、まあいいか!と、それ以来毎年その花が咲くのを愛おしく思いながら眺めてきました。
数日前、知人から「今年は桜桃が豊作でたくさん実がついている」という話を聞き、もしかいたらと、よくよくみてみると、なんとたくさん桜桃がなっていました。やっぱり桜桃の木だったのですね。大きくなってしまった木から実を収穫することは難しく、手の届くところからほんの少しだけ採って食べてみました。市販されている桜桃に比べたら実は小さいですが、甘酸っぱい香りが口いっぱいに広がって、なんだか幸せな気分になりました。
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